さうするとみんなが遁《に》げるやうに岸《きし》へ上《あが》つて指《ゆび》を出《だ》して其《そ》の先《さき》を屈曲《くつきよく》させながら騷《さわ》ぐ。小《ちひ》さな子供《こども》は笊《ざる》を手《て》にした儘《まゝ》目《め》には手《て》も當《あて》ずに聲《こゑ》を放《はな》つて泣《な》く。與吉《よきち》は恁《か》うして能《よ》く泣《な》かされた。彼《かれ》には寸毫《すこし》も父兄《ふけい》の力《ちから》が被《かうぶ》つて居《ゐ》ない。頑是《ぐわんぜ》ない子供《こども》の間《あひだ》にも家族《かぞく》の力《ちから》は非常《ひじやう》な勢《いきほ》ひを示《しめ》して居《ゐ》る。其《その》家族《かぞく》が一|般《ぱん》から輕侮《けいぶ》の眼《め》を以《もつ》て見《み》られて居《ゐ》るやうに、子供《こども》の間《あひだ》にも亦《また》小《ちひ》さい與吉《よきち》は侮《あなど》られて居《ゐ》た。それでも與吉《よきち》は歸《かへ》りには小笊《こざる》の底《そこ》に鰌《どぜう》があるので悦《よろこ》んで居《ゐ》た。泣《な》いた當座《たうざ》は萎《しを》れても彼《かれ》は直《すぐ》に機嫌《きげん》が出
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