こともあるが、屹度《きつと》與吉《よきち》がくつゝいて居《ゐ》るのと、自分《じぶん》は炊事《すゐじ》の間《ま》を缺《か》かすことが出來《でき》ないのとで晝餐《ひる》でも晩餐《ばん》でも他人《ひと》より早《はや》く歸《かへ》つて來《こ》なければならない。
「俺《お》らいつそもの日《び》なんざ無《ね》え方《はう》がえゝ、さうでせえなけりや出《で》てえた思《おも》はねえから」おつぎは熟《つく/″\》呟《つぶや》くことがあつた。
「どうにか俺《お》らだつて成《な》つから」おつぎの呟《つぶや》くのを聞《き》いて勘次《かんじ》は有繋《さすが》に心《こゝろ》が切《せつ》なくなる。それで云《い》ひやうが無《な》くては恁《か》うぶすりと云《い》つて畢《しま》ふのであつた。
與吉《よきち》は四《よつ》つに成《な》つた。惡戯《いたづら》も知《し》つて來《き》てそれ丈《だけ》おつぎの手《て》は省《はぶ》かれた。それでも與吉《よきち》の衣物《きもの》はおつぎの手《て》には始末《しまつ》が出來《でき》ないので、近所《きんじよ》の女房《にようばう》へ頼《たの》んではどうにかして貰《もら》つた。お品《しな》が生《い
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