》に困《こま》つて畢《しま》ふんだよ」内儀《かみ》さんは巡査《じゆんさ》を一寸《ちよつと》見《み》てさうして
「此《こ》れから屹度《きつと》やらないなら今日《けふ》の處《ところ》だけは大目《おほめ》に見《み》て戴《いたゞ》いて警察《けいさつ》へ連《つ》れて行《ゆ》かれないやうに伺《うかゞ》つて見《み》てあげるがね、どうしたもんだね」と勘次《かんじ》へいつた。
「何卒《どうぞ》はあ、決《けつ》してやりませんから、へえお内儀《かみ》さんどうぞ」勘次《かんじ》は草刈籠《くさかりかご》を脊負《せお》うて前屈《まへかゞみ》になつた身體《からだ》を幾度《いくど》か屈《かゞ》めていつた。涙《なみだ》が又《また》ぼろ/\と衣《きもの》の裾《すそ》から跳《は》ねてほつ/\と庭《には》の土《つち》に點《てん》じた。
「如何《いかゞ》なもんでござんせうね此《こ》れは」内儀《かみ》さんは微笑《びせう》を含《ふく》んで巡査《じゆんさ》に向《むか》つていつた。
「さうですなあ」巡査《じゆんさ》は首《くび》を傾《かたむ》けていつて更《さら》に帶劍《たいけん》の鞘《さや》を膝《ひざ》へとつて
「どうだ勘次《かんじ》、
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