た》恁《か》ういふ人々《ひとびと》の憐《あは》れなことも想《おも》ひやる暇《いとま》がなかつた。さうして彼《かれ》は自分《じぶん》の技倆《うで》が愉快《ゆくわい》になつた。彼《かれ》は再《ふたゝ》び土手《どて》から見《み》おろした。萬能《まんのう》を持《も》つて居《ゐ》るのは皆《みな》女《をんな》で十三四の子《こ》も交《まじ》つて居《ゐ》るのであつた。人々《ひと/″\》の掘《ほ》り起《おこ》した趾《あと》は畑《はたけ》の土《つち》を蚯蚓《みゝず》が擡《もた》げたやうな形《かたち》に、濕《しめ》つた砂《すな》のうね/\と連《つらな》つて居《ゐ》るのが彼《かれ》の目《め》に映《うつ》つた。
彼《かれ》は家《うち》に歸《かへ》ると共《とも》に唐鍬《たうぐは》の柄《え》を付《つけ》た。鉈《なた》の刀背《みね》で鐵《てつ》の楔《くさび》を打《う》ち込《こ》んでさうして柄《え》を執《と》つて動《うご》かして見《み》た。次《つぎ》の朝《あさ》からもう勘次《かんじ》の姿《すがた》は林《はやし》に見出《みいだ》された。
主人《しゆじん》から與《あた》へられた穀物《こくもつ》は彼《かれ》の一|家《か》
前へ
次へ
全956ページ中218ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング