して小《ちひ》さな木片《もくへん》を入《いれ》る爲《ため》に持《もつ》て來《き》た麻《あさ》の穢《きたな》い袋《ふくろ》を草刈籠《くさかりかご》から出《だ》した。
僅《わづか》に鬼怒川《きぬがは》の水《みづ》を隔《へだ》てゝ西《にし》は林《はやし》が連《つらな》つて居《ゐ》る。村落《むら》も田《た》も畑《はたけ》も其《そ》の林《はやし》に包《つゝ》まれて居《ゐ》る。東《ひがし》は只《たゞ》低《ひく》い水田《すゐでん》と畑《はたけ》とで村落《むら》が其《そ》の間《あひだ》に點在《てんざい》して居《ゐ》る。其處《そこ》に家《いへ》を圍《かこ》んで僅《わづ》かな木立《こだち》が有《あ》るばかりである。隨《したが》つて薪《たきゞ》の缺乏《けつばふ》から豆幹《まめがら》や藁《わら》のやうなものも皆《みな》燃料《ねんれう》として保存《ほぞん》されて居《ゐ》ることは勘次《かんじ》も能《よ》く知《し》つて居《ゐ》た。然《しか》し其《そ》の薪《たきゞ》の缺乏《けつばふ》から自然《しぜん》にかういふ砂《すな》の中《なか》に洪水《こうずゐ》が齎《もたら》した木片《もくへん》の埋《うづ》まつて居《ゐ》るのを
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