》さんはいつた。
「俺《お》ら川向《かはむかう》さ」
「そんぢや燃《もう》す木《き》は有《あ》つ處《とこ》だね」婆《ばあ》さんは更《さら》に勘次《かんじ》の唐鍬《たうぐは》を見《み》て
「たいした唐鍬《たうぐは》だが餘《よ》つ程《ぽど》すんだつぺな」
「さうさ今《いま》打《ぶ》たせちや三十掛《さんじふがけ》は屹度《きつと》だな」
「三十掛《さんじふがけ》ツちや幾《いく》らするごつさら、目方《めかた》もしつかり掛《かゝ》んべな」
「一貫目《いつくわんめ》もねえがな」勘次《かんじ》は自慢《じまん》らしく婆《ばあ》さんへ唐鍬《たうぐは》を持《も》たせた。
「おういや、俺《お》らがにや引《ひ》つたゝねえやうだ、おめえさん自分《じぶん》で使《つか》あのけまあ、何《なに》したごつさらよ此《こ》んな道具《だうぐ》なあ」
「毎日《まいんち》木根《きね》つ子《こ》起《おこ》してたんだが、唐鍬《たうぐは》のひつ痛《いため》つちやつたから直《なほ》し來《き》た處《とこ》さ」
「そんぢやおめえさん燃《もう》す物《もの》にや不自由《ふじいう》なしでえゝな」婆《ばあ》さんは羨《うらや》まし相《さう》にいつた。さう
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