の砂《すな》を掘《ほ》つて居《ゐ》るのであつた。西風《にしかぜ》が乾《かわ》かしてはさらさらと掃《は》いて居《ゐ》ても洲《す》には猶《なほ》幾《いく》らか波《なみ》の趾《あと》がついて居《ゐ》る。其《その》砂《すな》の中《なか》からは短《みじか》い木片《もくへん》が出《で》る。二三|寸《すん》から五六|寸《すん》位《ぐらゐ》な稀《まれ》には一|尺《しやく》位《ぐらゐ》なものも掘《ほ》り起《おこ》される。皆《みな》研《と》ぎ減《へら》したやうな木片《もくへん》のみである。人々《ひと/″\》は冷《つめ》たく成《な》つた手《て》を口《くち》へ當《あ》てゝ白《しろ》い暖《あたゝ》かい息《いき》を吹《ふ》つ掛《か》けながら一|心《しん》に先《さき》へ先《さき》へと掘《ほ》り起《おこ》しつゝ行《ゆ》く。
「どうするんだね」勘次《かんじ》は一人《ひとり》の側《そば》へ立《た》つて聞《き》いた。ひよつと首《くび》を擡《もた》げたのは婆《ばあ》さんであつた。婆《ばあ》さんは腰《こし》をのして強《つよ》い西風《にしかぜ》によろける足《あし》を踏《ふみ》しめて
「此《こ》れ干《ほ》して置《お》いて燃《も》す
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