あは》を生《しやう》じた肌《はだへ》のやうに只《たゞ》こそばゆく見《み》えた。西風《にしかぜ》は川《かは》に吹《ふ》き落《お》ちる時《とき》西岸《せいがん》の篠《しの》をざわ/\と撼《ゆる》がす。更《さら》に東岸《とうがん》の土手《どて》を傳《つた》うて吹《ふ》き上《あ》げる時《とき》、土手《どて》の短《みじか》い枯芝《かれしば》の葉《は》を一葉《ひとは》づゝ烈《はげ》しく靡《なび》けた。其《そ》の枯芝《かれしば》の間《あひだ》にどうしたものか氣《き》まぐれな蒲公英《たんぽ》の黄色《きいろ》な頭《あたま》がぽつ/\と見《み》える。どうかすると土手《どて》は靜《しづ》かで暖《あたゝ》かなことがあるので、遂《つひ》騙《だま》されて蒲公英《たんぽ》がまだ遠《とほ》い春《はる》を遲緩《もどか》しげに首《くび》を出《だ》して見《み》ては、また寒《さむ》く成《な》つたのに驚《おどろ》いて蹙《ちゞ》まつたやうな姿《すがた》である。
 勘次《かんじ》は唐鍬《たうぐは》を持《も》つて復《ま》た自分《じぶん》の活力《くわつりよく》を恢復《くわいふく》し得《え》たやうに、それから又《また》一|日《にち》仕事
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