てから隣《となり》の主人《しゆじん》が林《はやし》を改良《かいりやう》する爲《ため》に雜木林《ざふきばやし》を一|旦《たん》開墾《かいこん》して畑《はたけ》にするといふことに成《な》つたので其《そ》の一|部《ぶ》を擔當《たんたう》した。彼《かれ》は小《ちひ》さな身體《からだ》である。然《しか》し彼《かれ》は重量《ぢうりやう》ある唐鍬《たうぐは》を振《ふ》り翳《かざ》して一|鍬《くは》毎《ごと》にぶつりと土《つち》をとつては後《うしろ》へそつと投《な》げつゝ進《すゝ》む。彼《かれ》は其《その》開墾《かいこん》の仕事《しごと》が上手《じやうず》で且《か》つ好《す》きである。其《そ》のきりつと緊《しま》つた身體《からだ》は小《ちひ》さいにしてもそれが各部《かくぶ》の平均《へいきん》を保《たも》つて唐鍬《たうぐは》を執《と》るときには彼《かれ》と唐鍬《たうぐは》とは唯《たゞ》一|體《たい》である。唐鍬《たうぐは》の廣《ひろ》い刄先《はさき》が木《き》の根《ね》に切《き》り込《こ》む時《とき》には彼《かれ》の身體《からだ》も一《ひと》つにぐざりと其《そ》の根《ね》を切《き》つて透《とほ》るかと思
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