《ざつさう》を除《のぞ》くことも一|切《さい》が手後《ておく》れに成《な》る。季節《きせつ》が暑《あつ》くなれば雨《あめ》があつて三|日《か》も見《み》ないうちには雜草《ざつさう》は驚《おどろ》くべき迅速《じんそく》な發育《はついく》を遂《と》げる。それが著《いちじる》しく作物《さくもつ》の勢力《せいりよく》を阻害《そがい》する。それだけ收穫《しうくわく》の減少《げんせう》を來《きた》さねばならぬ筈《はず》である。要《えう》するに勤勉《きんべん》な彼等《かれら》は成熟《せいじゆく》の以前《いぜん》に於《おい》て既《すで》に青々《せい/\》たる作物《さくもつ》の活力《くわつりよく》を殺《そ》いで食《く》つて居《ゐ》るのである。收穫《しうくわく》の季節《きせつ》が全《まつた》く終《をは》りを告《つ》げると彼等《かれら》は草木《さうもく》の凋落《てうらく》と共《とも》に萎靡《ゐび》して畢《しま》はねばならぬ。草木《さうもく》の眠《ねむ》りに落《お》ち去《さ》る少《すくな》くとも五六十|日《にち》の間《あひだ》は、彼等《かれら》は稀《まれ》に冬懇《ふゆばり》というて麥《むぎ》の畦間《うねま》を
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