を更《さら》に骨《ほね》まで噛《か》むやうなことをして居《ゐ》るのである。一|般《ぱん》には落葉《おちば》や青草《あをぐさ》の缺乏《けつばふ》を感《かん》ずると共《とも》に便利《べんり》な各種《かくしゆ》の人造肥料《じんざうひれう》が供給《きようきふ》される。然《しか》しそれも依然《いぜん》として金錢《きんせん》に幾《いく》らでも餘裕《よゆう》のある人《ひと》にのみ便利《べんり》なのであつて、貧乏《びんばふ》な百姓《ひやくしやう》には牛《うし》や馬《うま》が馬塞棒《ませぼう》で遮《さへぎ》られたやうな形《かたち》でなければならぬ。さうかといつて其《そ》れ等《ら》の肥料《ひれう》なしには到底《たうてい》一|般《ぱん》に定《さだ》められてある小作料《こさくれう》を支拂《しはら》ふ丈《だけ》の收穫《しうくわく》は得《え》られないので慘憺《さんたん》たる工夫《くふう》が彼等《かれら》の心《こゝろ》を往來《わうらい》する。さうして又《また》食料《しよくれう》を求《もと》める爲《ため》に勞力《らうりよく》を他《た》に割《さ》くことによつて、作物《さくもつ》の畦間《うねま》を耕《たがや》すことも雜草
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