處《どこ》の林《はやし》でも落葉《おちば》を掻《か》くことや青草《あをぐさ》を刈《か》ることが皆《みな》錢《ぜに》に餘裕《よゆう》のあるものゝ手《て》に歸《き》して畢《しま》つた。それと共《とも》に林《はやし》は封鎖《ふうさ》されたやうな姿《すがた》に成《な》つて居《ゐ》る。冬《ふゆ》毎《ごと》に熊手《くまで》の爪《つめ》の及《およ》ぶ限《かぎ》り掻《か》いて行《ゆ》くので、草《くさ》も隨《したが》つて短《みじか》くなつて腰《こし》を沒《ぼつ》するやうな處《ところ》は滅多《めつた》にない。其《そ》の草《くさ》も更《さら》に土《つち》から刈《か》つて行《ゆ》くので次第《しだい》に土《つち》が痩《や》せて行《ゆ》く。だから空手《からて》では何處《どこ》へ行《い》つても竊取《せつしゆ》せざる限《かぎり》は存分《ぞんぶん》に軟《やはら》かな草《くさ》を刈《か》ることは出來《でき》ない。貧乏《びんばう》な百姓《ひやくしやう》は落葉《おちば》でも青草《あをぐさ》でも、他人《ひと》の熊手《くまで》や鎌《かま》を入《い》れ去《さ》つた後《あと》に求《もと》める。さうして瘠《や》せて行《ゆ》く土《つち》
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