くせう》しながらいつた。
「何《なん》でだつぺなまあ、おめえそんなに仕《し》ねえで面倒《めんだう》見《み》てやらつせえよ、此《こ》れがおめえ女《をんな》つ子《こ》でもなくつて見《み》さつせえ、こんな小《ちひせ》えの抱《だけ》えて仕《し》やうあるもんぢやねえな」
「さうだともよ、こらおつうでも無《な》くつちや育《そだ》たなかつたかも知《し》んねえぞ、それこそ因果《いんぐわ》見《み》なくつちやなんねえや、なあおつう」女房等《にようばうら》はいつた。
「俺《おら》がとこちつともこら離《はな》んねえんだよ仕《し》やうねえやうだよ本當《ほんたう》に」おつぎはもう段々《だん/\》手《て》に餘《あま》つて來《き》た與吉《よきち》を膝《ひざ》にしていつた。
「今《いま》ぢや、まるつきしおつかのやうな氣《き》がしてんだな、屹度《きつと》」女房《にようばう》らはまた與吉《よきち》を見《み》ていつた。勘次《かんじ》は側《そば》で只《たゞ》目《め》を屡叩《しばたゝ》いた。
家《うち》へ戻《もど》つてから勘次《かんじ》は
「おつう、手《て》ランプ持《も》つて來《き》て見《み》せえ、汝《われ》げ見《み》せるもの
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