こら》へられぬやうにしては、俄《にはか》に水《みづ》に浸《ひた》されて銀《ぎん》のやうに光《ひか》つて居《ゐ》る岸《きし》の草《くさ》の中《なか》に隱《かく》れやうとする。さうしては又《また》凡《すべ》ての幼《をさな》いものゝ特有《もちまへ》で凝然《ぢつ》として居《を》られなくて可憐《かれん》な尾《を》をひら/\と動《うご》かしながら、力《ちから》に餘《あま》る水《みづ》の勢《いきほひ》にぐつと持《も》ち去《さ》られつゝ泳《およ》いで居《ゐ》る。與吉《よきち》は鼠麹草《はゝこぐさ》の花《はな》を水《みづ》へ投《な》げた。花《はな》が上流《じやうりう》に向《む》いて落《お》ちると、ぐるりと下流《かりう》へ押《お》し向《む》けられてずんずんと運《はこ》ばれて行《ゆ》く。岸《きし》の草《くさ》の中《なか》に居《ゐ》た蛙《かはづ》は剽輕《へうきん》に其《その》花《はな》へ飛《と》び付《つ》いて、それからぐつと後《うしろ》の足《あし》で水《みづ》を掻《か》いて向《むかふ》の岸《きし》へ着《つ》いてふわりと浮《う》いた儘《まゝ》大《おほ》きな目《め》を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《み
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