有《あ》つた」おつぎは田圃《たんぼ》にある鼠麹草《はゝこぐさ》の花《はな》を※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》つて筵《むしろ》へ載《のせ》て遣《や》つた。さうして又《また》危《あぶな》いやうにそうつと田《た》へおりた。與吉《よきち》は只《たゞ》鼠麹草《はゝこぐさ》の花《はな》を弄《いぢ》つて居《ゐ》た。
堀《ほり》は雨《あめ》の後《あと》の水《みづ》を聚《あつ》めてさら/\と岸《きし》を浸《ひた》して行《ゆ》く。青《あを》く茂《しげ》つて傾《かたむ》いて居《ゐ》る川楊《かはやなぎ》の枝《えだ》が一つ水《みづ》について、流《なが》れ去《さ》る力《ちから》に輕《かる》く動《うご》かされて居《ゐ》る。水《みづ》は僅《わづか》に觸《ふ》れて居《ゐ》る其《その》枝《えだ》の爲《ため》に下流《かりう》へ放射線状《はうしやせんじやう》を描《ゑが》いて居《ゐ》る。蘆《あし》のやうで然《しか》も極《きは》めて細《ほそ》い可憐《かれん》なとだしばがびり/\と撼《ゆる》がされながら岸《きし》の水《みづ》に立《た》つて居《ゐ》る。お玉杓子《たまじやくし》が水《みづ》の勢《いきほ》ひに怺《
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