いて其處《そこ》に置《お》いてある。
「えんとして居《ゐ》ろ、動《いご》くんぢやねえぞ動《いご》くとぽかあんと堀《ほり》の中《なか》さ落《おつ》こちつかんな、そうら蛙《けえる》ぽかあんと落《おつ》こつた。動《いご》くなあ、此處《こゝ》に棒《ぼう》あつた、そうら此《これ》でも持《も》つてろ、泣《な》くんぢやねえぞ、姉《ねえ》は此《こ》の田《た》ン中《なか》に居《ゐ》んだかんな、泣《な》くとおとつゝあにあつぷつて怒《おこ》られつかんな」おつぎは頬《ほゝ》を擦《す》りつけて能《よ》くいひ含《ふく》めた。與吉《よきち》は土《つち》だらけの短《みぢか》い棒《ぼう》で岸《きし》の土《つち》を叩《たゝ》いて居《ゐ》る。さうして時々《とき/″\》後《あと》を向《む》いては姉《あね》の姿《すがた》を見《み》て安心《あんしん》して棒《ぼう》でぴた/\と叩《たゝ》いて居《ゐ》る。棒《ぼう》の先《さき》が水《みづ》を打《う》つので與吉《よきち》は悦《よろこ》んだ。それも少時《しばし》の間《あひだ》に飽《あ》いた。おつぎは與吉《よきち》がまた見《み》た時《とき》には田《た》の向《むかふ》の端《はし》に行《い》つ
前へ
次へ
全956ページ中174ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング