。勘次《かんじ》は萬能《まんのう》をぶつりと打《う》ち込《こ》んではぐつと大《おほ》きな土《つち》の塊《かたまり》を引返《ひきかへ》す。おつぎは漸《やうや》く小《ちひ》さな塊《かたまり》を起《おこ》す。勘次《かんじ》の手《て》は速《すみや》かに運動《うんどう》してずん/\と先《さき》へ進《すゝ》む。おつぎは段々《だん/\》後《おく》れて小《ちひ》さな塊《かたまり》を淺《あさ》く起《おこ》して進《すゝ》んで行《ゆ》く。さうすると
「そんなに可怖《おつかな》びつくりやんぢやねえかうすんだ」勘次《かんじ》は遲緩《もどか》し相《さう》におつぎの萬能《まんのう》をとつて打《う》ち込《こ》んで見《み》せる。
「そんでもおとつゝあ、俺《おら》がにやさういにや出來《でき》ねえんだもの」
「そんな料簡《れうけん》だから汝等《わツら》駄目《だめ》だ、本當《ほんたう》にやつて見《み》る積《つもり》でやつて見《み》ろ」
 おつぎは勘次《かんじ》に後《おく》れつゝ手《て》の力《ちから》の及《およ》ぶ限《かぎ》り働《はたら》いた。
 與吉《よきち》は田圃《たんぼ》の堀《ほり》の邊《ほとり》に筵《むしろ》を敷《し》
前へ 次へ
全956ページ中173ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング