また》春《はる》が移《うつ》つて雨《あめ》が忙《いそが》しく田畑《たはた》へ水《みづ》を供給《きようきふ》した。勘次《かんじ》は自分《じぶん》の後《うしろ》の田《た》へ出《で》て刈株《かりかぶ》を引《ひ》つ返《かへ》しては耕《たがや》した。おつぎも萬能《まんのう》を持《も》つて勘次《かんじ》の後《あと》に跟《つ》いた。勘次《かんじ》はお品《しな》の手《て》が減《へ》つた丈《だけ》はおつぎを使《つか》つてどうにか從來《これまで》作《つく》つた土地《とち》は始末《しまつ》をつけようと思《おも》つた。殊《こと》に田《た》は直《すぐ》後《うしろ》なので什※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《どんな》にしても手放《てばな》すまいとした。一|且《たん》地主《ぢぬし》へ還《かへ》して畢《しま》つたら再《ふたゝ》び自分《じぶん》が欲《ほ》しくなつても容易《ようい》に手《て》に入《い》れることが出來《でき》ないのを怖《おそ》れたからである。今《いま》におつぎを一|人前《にんまへ》に仕込《しこ》んで見《み》ると勘次《かんじ》は心《こゝろ》に思《おも》つて居《ゐ》る
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