むし》ろ憐《あはれ》になつて又《また》こちらから仕事《しごと》を吩咐《いひつ》けてやつた。更《さら》に袋《ふくろ》へ米《こめ》と挽割麥《ひきわりむぎ》とを交《ま》ぜたのを入《い》れて、それから此《こ》れは傭人《やとひにん》にも炊《た》いてやれないのだからお前《まへ》がよければ持《も》つて行《い》つて秋《あき》にでもなつたら糯粟《もちあは》の少《すこ》しも返《かへ》せと二三|斗《ど》入《はひ》つた粳粟《うるちあは》の俵《たわら》とを一つに遣《や》つた。勘次《かんじ》は主人《しゆじん》の爲《ため》に一|所懸命《しよけんめい》働《はたら》いた。其《そ》の以前《いぜん》からも彼《かれ》は只《たゞ》隣《となり》の主人《しゆじん》から見棄《みす》てられないやうと心《こゝろ》には思《おも》つて居《ゐ》るのであつた。然《しか》し非常《ひじやう》な勞働《らうどう》は傭人《やとひにん》の仲間《なかま》には忌《い》まれた。それは傭人《やとひにん》も彼《かれ》に倣《なら》つて自分《じぶん》も其《そ》の勞力《らうりよく》を偸《ぬす》むことが出來《でき》ないからである。
さうする内《うち》に世間《せけん》は復《
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