とき》蛙《かへる》は一|齊《せい》に裂《さ》けるかと思《おも》ふ程《ほど》喉《のど》の袋《ふくろ》を膨脹《ばうちやう》させて身《み》を撼《ゆる》がしながら殊更《ことさら》に鳴《な》き立《た》てる。白《しろ》い※[#「糸+圭」、第3水準1−90−3]絲《すがいと》のやうな雨《あめ》は水《みづ》が田《た》に滿《み》つるまでは注《そゝ》いで又《また》注《そゝ》ぐ。鳴《な》くべき時《とき》に鳴《な》く爲《ため》にのみ生《うま》れて來《き》た蛙《かへる》は苅株《かりかぶ》を引《ひ》つ返《かへ》し/\働《はたら》いて居《ゐ》る人々《ひと/″\》の周圍《しうゐ》から足下《あしもと》から逼《せま》つて敏捷《びんせう》に其《そ》の手《て》を動《うご》かせ/\と促《うなが》して止《や》まぬ。蛙《かへる》がぴつたりと聲《こゑ》を呑《の》む時《とき》には日中《につちう》の暖《あたゝ》かさに人《ひと》もぐつたりと成《な》つて田圃《たんぼ》の短《みじか》い草《くさ》にごろりと横《よこ》に成《な》る。更《さら》に蛙《かへる》はひつそりと靜《しづ》かな夜《よる》になると如何《いか》に自分《じぶん》の聲《こゑ》が遠《と
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