い光《ひかり》を保《たも》ちながら蒼《あを》い空《そら》の下《した》に、まだ猶豫《たゆた》うて居《ゐ》る周圍《しうゐ》の林《はやし》を見《み》る。岬《みさき》のやうな形《かたち》に偃《は》うて居《ゐ》る水田《すゐでん》を抱《かゝ》へて周圍《しうゐ》の林《はやし》は漸《やうや》く其《そ》の本性《ほんしやう》のまに/\勝手《かつて》に白《しろ》つぽいのや赤《あか》つぽいのや、黄色《きいろ》つぽいのや種々《いろ/\》に茂《しげ》つて、それが氣《き》が付《つ》いた時《とき》に急《いそ》いで一《ひと》つの深《ふか》い緑《みどり》に成《な》るのである。雜木林《ざふきばやし》の其處《そこ》ら此處《こゝ》らに散在《さんざい》して居《ゐ》る開墾地《かいこんち》の麥《むぎ》もすつと首《くび》を出《だ》して、蠶豆《そらまめ》の花《はな》も可憐《かれん》な黒《くろ》い瞳《ひとみ》を聚《あつ》めて羞《はづ》かし相《さう》に葉《は》の間《あいだ》からこつそりと四|方《はう》を覗《のぞ》く。雜木林《ざふきばやし》の間《あひだ》には又《また》芒《すゝき》の硬直《かうちよく》な葉《は》が空《そら》を刺《さ》さうとして立
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