どろ》いたやうな容子《ようす》をして空《そら》を仰《あふ》いで見《み》る。さうして彼等《かれら》は慌《あわ》てたやうに聲《こゑ》を放《はな》つて其《その》長《なが》い睡眠《すゐみん》から復活《ふくくわつ》したことを空《そら》に向《むか》つて告《つ》げる。それで遠《とほ》く聞《き》く時《とき》は彼等《かれら》の騷《さわ》がしい聲《こゑ》は只《たゞ》空《そら》にのみ響《ひゞ》いて快《こゝろよ》げである。
彼等《かれら》は更《さら》に春《はる》の到《いた》つたことを一|切《さい》の生物《せいぶつ》に向《むか》つて促《うなが》す。草《くさ》や木《き》が心《こゝろ》づいて其《そ》の活力《くわつりよく》を存分《ぞんぶん》に發揮《はつき》するのを見《み》ないうちは鳴《な》くことを止《や》めまいと努《つと》める。田圃《たんぼ》の榛《はん》の木《き》は疾《とう》に花《はな》を捨《す》てゝ自分《じぶん》が先《さき》に嫩葉《わかば》の姿《すがた》に成《な》つて見《み》せる。黄色味《きいろみ》を含《ふく》んだ嫩葉《わかば》が爽《さわや》かで且《か》つ朗《ほがら》かな朝日《あさひ》を浴《あ》びて快《こゝろよ》
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