間《ま》に少《すこ》しづゝ延《の》びてひら/\と動《うご》き易《やす》くなる。其《そ》の刺戟《しげき》から蛙《かへる》はまだ蟄居《ちつきよ》の状態《じやうたい》に在《あ》りながら、稀《まれ》にはそつちでもこつちでもくゝ/\と鳴《な》き出《だ》すことがある。空《そら》から射《さ》す日《ひ》の光《ひかり》はそろ/\と熱度《ねつど》を増《ま》して、土《つち》はそれを幾《いく》らでも吸《す》うて止《や》まぬ。土《つち》は凡《すべ》てを段々《だん/\》と刺戟《しげき》して堀《ほり》の邊《ほとり》には蘆《あし》やとだしばや其《そ》の他《た》の草《くさ》が空《そら》と相《あひ》映《えい》じてすつきりと其《そ》の首《くび》を擡《もた》げる。軟《やはら》かさに滿《み》たされた空氣《くうき》を更《さら》に鈍《にぶ》くするやうに、榛《はん》の木《き》の花《はな》はひら/\と止《や》まず動《うご》きながら煤《すゝ》のやうな花粉《くわふん》を撒《ま》き散《ち》らして居《ゐ》る。蛙《かへる》は假死《かし》の状態《じやうたい》から離《はな》れて軟《やはら》かな草《くさ》の上《うへ》に手《て》を突《つ》いては、驚《お
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