からだ》を傳《つた》ひつゝ左《ひだり》へ廻《まは》つて行《ゆ》く。さうすると卯平《うへい》の手《て》が與吉《よきち》の頭《あたま》の上《うへ》に乘《の》つて菓子《くわし》が頭《あたま》へ落《おと》される。與吉《よきち》が頭《あたま》へ手《て》をやる時《とき》に菓子《くわし》は足下《あしもと》へぽたりと落《お》ちる。與吉《よきち》は慌《あわ》てゝ菓子《くわし》を拾《ひろ》つては聲《こゑ》を立《た》てゝ笑《わら》ふのである。菓子《くわし》は何時《いつ》までも減《へ》らないやうに砂糖《さたう》で固《かた》めた黒《くろ》い鐵砲玉《てつぱうだま》が能《よ》く與《あた》へられた。頭《あたま》から落《お》ちてころ/\と鐵砲玉《てつぱうだま》が遠《とほ》く轉《ころ》がつて行《ゆ》くのを、倒《たふ》れながら逐《お》ひ掛《か》けて行《い》く與吉《よきち》を見《み》て卯平《うへい》のむつゝりとした顏《かほ》が溶《と》けるのである。與吉《よきち》は躓《つまづ》いて倒《たふ》れても其《その》時《とき》は決《けつ》して泣《な》くことがない。鐵砲玉《てつぱうだま》は麥藁《むぎわら》の籠《かご》へも入《い》れられた。
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