《あひだ》には與吉《よきち》を背負《せお》つて林《はやし》の中《なか》を歩《ある》いて竹《たけ》の竿《さを》で作《つく》つた鍵《かぎ》の手《て》で枯枝《かれえだ》を採《と》つては麁朶《そだ》を束《たば》ねるのが務《つとめ》であつた。おつぎは麥藁《むぎわら》で田螺《たにし》のやうな形《かたち》に捻《よぢ》れた籠《かご》を作《つく》つてそれを與吉《よきち》へ持《も》たせた。卯平《うへい》はぶらりと出《で》て行《い》つては歸《かへ》りには駄菓子《だぐわし》を少《すこ》し袂《たもと》へ入《い》れて來《く》る。さうして卯平《うへい》は菓子《くわし》を持《も》つた右《みぎ》の手《て》を左《ひだり》の袖口《そでくち》から出《だ》して與吉《よきち》へ見《み》せる、與吉《よきち》はふら/\と漸《やうや》く歩《ある》いて行《い》つては、衝《つ》き當《あた》り相《さう》に卯平《うへい》へ捉《つかま》つて袂《たもと》を探《さが》す。さうすると菓子《くわし》を持《も》つた手《て》が更《さら》に卯平《うへい》の左《ひだり》の袂《たもと》から出《で》る。與吉《よきち》は危《あぶ》な相《さう》に卯平《うへい》の身體《
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