《ひた》して置《お》いて摺鉢《すりばち》ですつて、それをくつ/\と煮《に》て砂糖《さたう》を入《いれ》て嘗《な》めさせた。與吉《よきち》は一箸《ひとはし》嘗《な》めては舌鼓《したつゞみ》を打《う》つて其《その》小《ちひ》さな白《しろ》い齒《は》を出《だ》して、頭《あたま》を後《うしろ》へひつゝける程《ほど》身《み》を反《そ》らしておつぎの顏《かほ》を凝然《ぢつ》と見《み》ては甘《あま》えた聲《こゑ》を立《たて》て笑《わら》ふのである。與吉《よきち》はそれが欲《ほし》くなれば小《ちひ》さな手《て》で煤《すゝ》けた※[#「竹かんむり/(目+目)/隻」、第4水準2−83−82]棚《わくだな》を指《さ》した。其處《そこ》には彼《かれ》の好《この》む砂糖《さたう》の小《ちひ》さな袋《ふくろ》が載《の》せてあるのであつた。
おつぎは勘次《かんじ》が吩咐《いひつ》けて行《い》つた通《とほ》り桶《をけ》へ入《い》れてある米《こめ》と麥《むぎ》との交《ま》ぜたのを飯《めし》に炊《た》いて、芋《いも》と大根《だいこ》の汁《しる》を拵《こしら》へる外《ほか》どうといふ仕事《しごと》もなかつた。其《そ》の間
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