わいふく》しかけると皆《みんな》が田《た》へ出《で》た後《あと》でそつと拔《ぬ》けて村《むら》の中《うち》の姻戚《みより》の處《ところ》へ行《い》つて板藏《いたぐら》の二|階《かい》へ隱《かく》れて寢《ね》て居《ゐ》た。夜《よ》になつたらどうして知《し》つたかお品《しな》はおつぎを背負《せお》つて鷄《にはとり》を一|羽《は》持《も》つて來《き》た。
「勘次《かんじ》さん惡《わる》く思《おも》はねえでくろうよ、俺《おら》惡《わる》くする積《つもり》はねえが、仕《し》やうねえからよ」とお品《しな》は訴《うつた》へるやうにいふのであつた。お品《しな》は毎晩《まいばん》のやうに來《き》て板藏《いたぐら》のさる[#「さる」に傍点]を内《うち》から卸《おろ》して泊《とま》つて行《い》つた。それでも勘次《かんじ》は卯平《うへい》の側《そば》が厭《いや》なので戻《もど》らないといふ積《つもり》で他《た》の村落《むら》へ漂泊《へうはく》した。復《また》土地《とち》へ歸《かへ》つて來《く》ると、畑《はたけ》に居《ゐ》ても田《た》に居《ゐ》てもお品《しな》が迫《せま》つて來《く》るので、彼《かれ》は農具《の
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