に隱《かく》して置《お》いてお品《しな》の家《うち》へ持《も》つて行《い》つた。さうして豆熬《まめいり》を噛《かじ》つては夜更《よふけ》まで噺《はなし》をすることもあつた。お品《しな》の家《うち》からは近所《きんじよ》に風呂《ふろ》の立《た》たぬ時《とき》は能《よ》く來《き》た。忙《いそが》しい仕事《しごと》には傭《やと》はれても來《き》た。さういふ間《あひだ》に彼等《かれら》の關係《くわんけい》が成立《なりた》つたのである。それはお品《しな》が十六の秋《あき》である。それから足掛《あしかけ》三|年《ねん》經《た》つた。勘次《かんじ》には主人《しゆじん》の家《うち》が愉快《ゆくわい》に能《よ》く働《はたら》くことが出來《でき》た。彼《かれ》の體躯《からだ》は寧《むし》ろ矮小《こつぶ》であるが、其《その》きりつと緊《しま》つた筋肉《きんにく》が段々《だん/″\》仕事《しごと》を上手《じやうず》にした。
 假令《たとひ》どんな物《もの》が彼等《かれら》の間《あひだ》を隔《へだ》てようとしても彼等《かれら》が相《あひ》近《ちか》づく機會《きくわい》を見出《みいだ》したことは鬱蒼《うつさう》と
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