らどうしたもんだえ」側《そば》からいはれて
「見《み》てやあしめえな」と其《その》女房《にようばう》は裏戸《うらど》の口《くち》から庭《には》の方《はう》を見《み》た。さうして
「俺《お》ら見《み》てえな婆《ばゞあ》はどうで此《こ》れから娶《よめ》にでも行《い》くあてがあんぢやなし、構《かま》あねえこたあ構《かま》あねえがな」といつて笑《わら》つた。
一同《みんな》どつと笑聲《わらひごゑ》を發《はつ》した。
柩《ひつぎ》を送《おく》つた人々《ひとびと》が離れ/″\に歸《かへ》つて來《く》るまでは雜談《ざつだん》がそれからそれと止《や》まなかつた。平日《へいじつ》何等《なんら》の慰藉《ゐしや》を與《あた》へらるゝ機會《きくわい》をも有《いう》して居《ゐ》ないで、然《しか》も聞《き》きたがり、知《し》りたがり、噺《はなし》たがる彼等《かれら》は三|人《にん》とさへ聚《あつま》れば膨脹《ばうちやう》した瓦斯《ガス》が袋《ふくろ》の破綻《はたん》を求《もと》めて遁《に》げ去《さ》る如《ごと》く、遂《つひ》には前後《ぜんご》の分別《ふんべつ》もなく其《その》舌《した》を動《うご》かすのである
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