めた事件《じけん》の簡單《かんたん》な説明《せつめい》を聞《き》いた時《とき》いつた。
「衣物《きもの》濡《ぬ》れたやうだな、脱《ぬが》せたらよかつぺ、それに酷《ひど》く汚《よご》れつちやつたな」亭主《ていしゆ》はいつて捲《まく》つた蒲團《ふとん》へ手《て》を當《あて》て見《み》た。
「此《こ》ら暖《ぬくと》くつてえゝ鹽梅《あんべえ》だ、冷《ひえ》させちやえかねえ」彼《かれ》は掛蒲團《かけぶとん》をとつぷり蓋《ふた》した。
「さうだな衣物《きもの》は焙《あぶ》る間《えゝだ》仕《し》やうねえなそんぢや褞袍《どてら》でも俺《お》ら家《ぢ》から持《も》つて來《く》つとえゝな、此《こ》の蒲團《ふとん》だけぢや暖《ぬくと》まれめえこら」彼《かれ》は少《すこ》し權威《けんゐ》を有《も》つた態度《たいど》でいつた。狹《せま》い小屋《こや》の焚火《たきび》は消《き》えて居《ゐ》た。怪訝《けゞん》な容子《ようす》をして遠《とほ》ざかつて居《ゐ》た與吉《よきち》が落葉《おちば》を足《た》して暫《しばら》く燻《くす》ぶらした。
「汝《われ》また、それ、おつう見《み》てやれ」勘次《かんじ》は與吉《よきち》に注意《ちうい》の言葉《ことば》を殘《のこ》して驅《か》け出《だ》して行《い》つた。
「蒲團《ふとん》も持《も》てらば持《も》つて來《き》た方《はう》がえゝな」南《みなみ》の亭主《ていしゆ》の聲《こゑ》は段々《だん/\》に大粒《おほつぶ》に成《な》つて飛《と》んで居《ゐ》る雪《ゆき》の亂《みだ》れの中《なか》に消《き》え行《ゆ》く勘次《かんじ》の後《あと》から追《お》ひ掛《か》けた。
勘次《かんじ》は二人《ふたり》を加《くは》へて勢《いきほ》ひづけられた手《て》を敏活《びんくわつ》に動《うご》かして、まだ暖《あたゝ》まつて居《ゐ》る蒲團《ふとん》へそつと卯平《うへい》を横《よこた》へた。卯平《うへい》の冷《つめ》たい身體《からだ》には、落葉《おちば》の火《ひ》でおつぎが焙《あぶ》つた褞袍《どてら》と夫《それ》から餘計《よけい》な蒲團《ふとん》とが蔽《おほ》はれた。卯平《うへい》の微《かす》かな呼吸《いき》が段々《だん/\》と恢復《くわいふく》して來《く》る。勘次《かんじ》はどん/\と落葉《おちば》や麁朶《そだ》を焚《た》いた。彼《かれ》は其《そ》の時《とき》雪《ゆき》の林《はやし》に燃料
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