《ゆ》く人々《ひと/″\》が其《そ》の序《ついで》に勘次《かんじ》の庭《には》に挨拶《あいさつ》に立《た》つたのみで、南《みなみ》の家《いへ》から笊《ざる》へ入《い》れた握飯《にぎりめし》が來《き》た丈《だけ》であつた。彼《かれ》はそれでも其《そ》の爲《ため》に空腹《くうふく》を遁《のが》れた。隣《となり》の主人《しゆじん》からは暫《しばら》くして其《そ》の集《あつま》つた握《にぎ》り飯《めし》の手桶《てをけ》を二つ三つ持《も》たせてよこした。夜《よ》に成《な》つてから近所《きんじよ》の者《もの》の手《て》で卯平《うへい》は念佛寮《ねんぶつれう》へ運《はこ》ばれた。勘次《かんじ》は卯平《うへい》を乘《の》せた荷車《にぐるま》を曳《ひ》いた。彼《かれ》はそれから隣《となり》の主人《しゆじん》へ挨拶《あいさつ》に出《で》たが、自分《じぶん》の喉《のど》の底《そこ》で物《もの》をいうて逃《に》げるやうに歸《かへ》つた。彼《かれ》は其《そ》の夜《よ》は三|人《にん》が凍《こほ》つた空《そら》を戴《いたゞ》いて燒趾《やけあと》の火氣《くわき》を手頼《たよ》りに明《あ》かした。卯平《うへい》を横《よこた》へた筵《むしろ》は誰《たれ》も取《と》りには來《こ》なかつた。筵《むしろ》は三|人《にん》に席《せき》を與《あた》へた。勘次《かんじ》は失火《しつくわ》に就《つ》いて與吉《よきち》から要領《えうりやう》を得《え》なかつた。然《しか》しながら彼《かれ》の悲憤《ひふん》に堪《た》へぬ心《こゝろ》が嘖《さいな》まうとするには與吉《よきち》の泣《な》いて止《や》まぬ火傷《やけど》がそれを抑《おさ》へつけた。勘次《かんじ》は疲《つか》れた。

         二六

 夜《よ》が深《ふ》けるに隨《したが》つて霜《しも》は三|人《にん》の周圍《しうゐ》に密接《みつせつ》して凝《こ》らうとしつゝ火《ひ》の力《ちから》をすら壓《お》しつけた。彼等《かれら》は冷《さ》めて行《ゆ》く火《ひ》に段々《だん/\》と筵《むしろ》を近《ちか》づけた。勘次《かんじ》もおつぎも薄《うす》い仕事衣《しごとぎ》にしん/\と凍《こほ》る霜《しも》の冷《つめ》たさと、ぢり/\と焦《こが》すやうな火《ひ》の熱《あつ》さとを同時《どうじ》に感《かん》じた。與吉《よきち》は火傷《やけど》へ夜《よ》の冷《つめ》たさが沁《し
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