くち》に投《とう》じてぼうぼうと燃《も》えあがる焔《ほのほ》に手《て》を翳《かざ》した。茶釜《ちやがま》がちう/\と少《すこ》し響《ひゞき》を立《た》てゝ鳴《な》り出《だ》した時《とき》卯平《うへい》は乾《ひから》びたやうに感《かん》じて居《ゐ》た喉《のど》を濕《うるほ》さうとして懶《だる》い臀《しり》を少《すこ》し起《おこ》して膳《ぜん》の上《うへ》の茶碗《ちやわん》へ手《て》を伸《のば》した。自由《じいう》を缺《か》いて居《ゐ》た手《て》が、爪先《つまさき》で持《も》つた茶碗《ちやわん》をころりと落《おと》させた。茶碗《ちやわん》の底《そこ》に冷《つめ》たく成《な》つて居《ゐ》た少《すこ》しの水《みづ》が土間《どま》へぽつちりと落《お》ちてはねた。飯粒《めしつぶ》が共《とも》に散《ち》らばつた。彼《かれ》は又《また》悠長《いうちやう》に茶碗《ちやわん》をとつて汚《よご》れた部分《ぶゞん》を手《て》でこすつて、更《さら》に茶釜《ちやがま》の熱湯《ねつたう》を注《そゝ》いで足《あし》もとの灰《はひ》へ傾《ま》けた。蓋《ふた》をとつたのでほう/\と威勢《ゐせい》よく立《た》つて居《ゐ》る水蒸氣《ゆげ》がちら/\と白《しろ》く立《た》つて落《お》ちる灰《はひ》を吸《す》うた。彼《かれ》は漸《やうや》くにして柄杓《ひしやく》の手《て》を放《はな》つて再《ふたゝ》び茶釜《ちやがま》の蓋《ふた》をした時《とき》俄《にはか》にぼうつと立《た》つた焔《ほのほ》の聲《こゑ》を聞《き》いた。彼《かれ》が思《おも》はず後《うしろ》を見《み》た時《とき》與吉《よきち》の驚愕《きやうがく》から發《はつ》せられた泣《な》き聲《ごゑ》が耳《みゝ》を打《う》つた。熾《さかん》な火《ひ》の柱《はしら》が近《ちか》く目《め》を掩《おほ》うて立《た》つて居《ゐ》た。彼《かれ》は又《また》直《すぐ》に激《はげ》しい熱度《ねつど》を顏《かほ》一|杯《ぱい》に感《かん》じた。火《ひ》はどうした機會《はずみ》か横《よこ》に轉《ころ》がした大籠《おほかご》の落葉《おちば》に移《うつ》つて居《ゐ》たのである。與吉《よきち》は初《はじ》め野外《やぐわい》の惡戲《あくぎ》に用《もち》ゐた手段《しゆだん》を以《もつ》て其《そ》の火《ひ》を叩《たゝ》いて消《け》さうとし又《また》掻《か》き出《だ》さうとした。乾燥《かんさ
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