しよとう》の梢《こずゑ》に慌《あわたゞ》しく渡《わた》つてそれから暫《しばら》く騷《さわ》いだ儘《まゝ》其《そ》の後《のち》は礑《はた》と忘《わす》れて居《ゐ》て稀《まれ》に思《おも》ひ出《だ》したやうに枯木《かれき》の枝《えだ》を泣《な》かせた西風《にしかぜ》が、雜木林《ざふきばやし》の梢《こずゑ》に白《しろ》く連《つらな》つて居《ゐ》る西《にし》の遠《とほ》い山々《やま/\》の彼方《かなた》に横臥《ね》て居《ゐ》たのが俄《にはか》に自分《じぶん》の威力《ゐりよく》を逞《たくま》しくすべき冬《ふゆ》の季節《きせつ》が自分《じぶん》を棄《す》てゝ去《さ》つたのに氣《き》がついて、吹《ふ》くだけ吹《ふ》かねば止《や》められない其《そ》の特性《とくせい》を發揮《はつき》して毎日《まいにち》其《そ》の特有《もちまへ》な力《ちから》が輕鬆《けいしよう》な土《つち》を空《そら》に捲《ま》いた。
其《そ》の日《ひ》も拂曉《あけがた》から空《そら》が餘《あま》りにからりとして鈍《にぶ》い軟《やはら》かな光《ひかり》を有《も》たなかつた。毎日《まいにち》吹《ふ》き捲《ま》くる疾風《しつぷう》が其《そ》の遠《とほ》い西山《せいざん》の氷雪《ひようせつ》を含《ふく》んで微細《びさい》に地上《ちじやう》を掩《おほ》うて撒布《さんぷ》したかと思《おも》ふやうに霜《しも》が白《しろ》く凝《こ》つて居《ゐ》た。
勘次《かんじ》は平生《いつも》の如《ごと》くおつぎを連《つ》れて開墾地《かいこんち》へ出《で》た。おつぎは半纏《はんてん》を後《うしろ》へふはりと掛《か》けた儘《まゝ》手《て》も通《とほ》さないで、肩《かた》へは襷《たすき》を斜《なゝめ》に掛《か》けて萬能《まんのう》を擔《かつ》いで居《ゐ》た。白《しろ》い手拭《てぬぐひ》とそれから手拭《てぬぐひ》の外《そと》に少《すこ》し覗《のぞ》いた後《おく》れ毛《げ》の歩《ある》く度《たび》にふら/\と動《うご》くのもしみ/″\と冷《つめ》た相《さう》であつた。草木《さうもく》及《およ》び地上《ちじやう》の霜《しも》に瞬《まばた》きしながら横《よこ》にさうして斜《なゝめ》に射《さ》し掛《か》ける日《ひ》に遠《とほ》い西《にし》の山々《やま/\》の雪《ゆき》が一頻《ひとしきり》光《ひか》つた。凡《すべ》てを通《つう》じて褐色《かつしよく》の光《
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