へ別《べつ》にして置《お》けよおめえ」
「そんぢやこつちのがも別《べつ》にして置《お》くべよ、なあ」婆《ばあ》さん等《ら》は頗《すこぶ》る慌《あわ》てたやうに手《て》もと忙《せは》しく三つ四つの風呂敷包《ふろしきづゝみ》をそつと佛壇《ぶつだん》へ隱《かく》した。さうして居《ゐ》る内《うち》に他《ほか》の婆《ばあ》さん等《ら》は
「みんな、おとなしく仕《し》なくつちや、呉《く》んねえぞ」
「さうだに洟《はな》垂《た》らしてるものげはやんねえことにすべえ」口々《くち/″\》に揶揄《からか》つた。子供等《こどもら》は一|齊《せい》に洟《はな》を啜《すゝ》つてさうして衣物《きもの》で横《よこ》に拭《ぬぐ》つた。白《しろ》い紙《かみ》が一|枚《まい》づつ子供等《こどもら》の前《まへ》に擴《ひろ》げられた。
「子奴等《こめら》こと云《ゆ》つて、手洟《てばな》なんぞかんだ手《て》ぢや引《ひ》かねえで呉《く》ろえ、おめえ等《ら》も勿體《もつてえ》ねえから」婆《ばあ》さん等《ら》が飯《めし》つぎを左《ひだり》の手《て》に抱《かゝ》へて立《た》つた時《とき》、かう圍爐裏《ゐろり》の側《そば》から呶鳴《どな》つた。彼《かれ》は小柄《こがら》な爺《ぢい》さんで一寸《ちよつと》婆《ばあ》さん等《ら》を顧《かへり》みて微笑《びせう》しながらいつたのである。彼《かれ》は喉《のど》へ二|重《ぢゆう》にした珠數《じゆず》を卷《ま》いて居《ゐ》た。彼《かれ》の聲《こゑ》は恐《おそ》ろしく大《おほ》きかつた。婆《ばあ》さん等《ら》は
「はい/\、そんぢや手《て》でも洗《あら》ひますべよ」といつたり
「俺《お》らおめえ、手洟《てばな》はかまねえよ」といつたりがら/\と騷《さわ》ぎながら、笑《わら》ひ私語《さゝや》きつゝ、濡《ぬ》れた手《て》を前掛《まへかけ》で拭《ふ》いて再《ふたゝ》び飯《めし》つぎを抱《かゝ》へた。婆《ばあ》さん等《ら》は箸《はし》の先《さき》で少《すこ》しづつ、飯《めし》つぎの物《もの》を突《つ》つ掛《か》けて其《そ》の擴《ひろ》げられた紙《かみ》へ置《お》きつゝ、端《はし》からぐるりと廻《まは》つて行《ゆ》く。紙《かみ》は子供等《こどもら》の數《かず》の外《ほか》にも敷《し》かれてあつた。それは空虚《から》になつた飯《めし》つぎを返《かへ》す時《とき》に其《そ》の中《なか》へ入《い》
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