程《ほど》の硬《こは》い意地《いぢ》の惡《わる》い葉《は》を持《も》つた芒《すゝき》までが、さうしなければ目《め》にも立《た》たないのに態々《わざ/\》と薄赤《うすあか》い軟《やはら》かな穗先《ほさき》を高《たか》くさし扛《あ》げて、他《ひと》一|倍《ばい》に騷《さわ》いだ。暫《しばら》くして秋《あき》は眩《まぶし》い程《ほど》冴《さ》えた空《そら》を見《み》せた。畑《はたけ》には晝《ひる》が餘計《よけい》に明《あか》るい程《ほど》黄褐色《くわうかつしよく》に成熟《せいじゆく》した陸稻《をかぼ》が一|杯《ぱい》に首肯《うなづ》いた。蕎麥《そば》は爽《さわや》かで且《か》つ細《ほそ》く強《つよ》い秋雨《あきさめ》がしと/\と洗《あら》つて秋風《あきかぜ》がそれを乾《かわ》かした。洗《あら》つては乾《かわか》し/\屡《しば/\》それが反覆《はんぷく》されてだん/\に薄青《うすあを》く、さうして闇《やみ》の夜《よ》をさへ明《あかる》くする程《ほど》純白《じゆんぱく》に曝《さら》された。臺地《だいち》の畑《はたけ》は黄白《くわうはく》相《あひ》交《まじ》つて地勢《ちせい》の儘《まゝ》になだらかに起伏《きふく》して鬼怒川《きぬがは》の土手《どて》に近《ちか》く向方《むかう》へ低《ひく》くこけて居《ゐ》る。さういふ畑《はたけ》の周圍《まはり》に立《たつ》て居《ゐ》る蜀黍《もろこし》は強《つよ》い莖《くき》がすつくりと穗《ほ》を支《さゝへ》て、それが疎《まば》らな垣根《かきね》のやうに連《つらな》つて畑《はたけ》から畑《はたけ》を繼《つな》いでは幾《いく》十|度《ど》の屈折《くつせつ》をなしつゝ段々《だん/\》に短《みぢか》くなつて此《こ》れも鬼怒川《きぬがは》の土手《どて》に近《ちか》く竭《つ》きる。土手《どて》の篠《しの》の高《たか》さに見《み》える蜀黍《もろこし》は南風《なんぷう》を受《う》けて、さし扛《あ》げた手《て》の如《ごと》き形《かたち》をなしては先《さき》から先《さき》へと動《うご》いて、其《そ》の手《て》が溯《さかのぼ》る白帆《しらほ》を靜《しづ》かに上流《じやうりう》へ押《お》し進《すゝ》めて居《ゐ》る。さうしては又《また》其《そ》の疎《まば》らな垣根《かきね》は長《なが》い短《みじか》いによつて遠《とほ》くの林《はやし》の梢《こずゑ》や冴《さ》えた山々《やま
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