けが來《き》てから瓜畑《うりばたけ》は悉《ことごと》く蔓《つる》も葉《は》も俄《にはか》にがら/\に枯《か》れて悲慘《みじめ》に成《な》つて畢《しま》つた。極《きは》めてそつと然《しか》も騷《さわ》がし相《さう》に動《うご》く雲《くも》が高《たか》く低《ひく》く反對《はんたい》の方向《はうかう》に交叉《かうさ》しつゝあるのを見《み》ると共《とも》に、枯燥《こさう》しかけた草木《くさき》の葉《は》が相《あひ》觸《ふ》れ相《あひ》打《う》つてはだん/\と破《やぶ》れつゝざわ/\と悲《かな》しげな響《ひゞき》を立《た》てゝ鳴《な》つた。凄《すご》い程《ほど》冴《さ》えた夜《よる》の空《そら》は忙《いそが》しげな雲《くも》が月《つき》を呑《の》んで直《すぐ》に後《うしろ》へ吐《は》き出《だ》し/\走《はし》つた。月《つき》は反對《はんたい》に遁《に》げつゝ走《はし》つた。秋風《あきかぜ》だ。櫟《くぬぎ》や楢《なら》や雜木《ざふき》や凡《すべ》てが節制《たしなみ》を失《うしな》つて悉《ことごと》く裏葉《うらは》も肌膚《はだ》も隱《かく》す隙《すき》がなくざあつと吹《ふ》かれて只《たゞ》騷《さわ》いだ。夜《よる》は寂《さび》しさに凡《すべ》ての梢《こずゑ》が相《あひ》耳語《さゝや》きつゝ餘計《よけい》に騷《さわ》いだ。まだ暑《あつ》い空氣《くうき》を冷《つめ》たくしつゝ豪雨《がうう》が更《さら》に幾日《いくにち》か草木《くさき》の葉《は》を苛《いぢ》めては降《ふ》つて/\又《また》降《ふ》つた。例年《れいねん》の如《ごと》き季節《きせつ》の洪水《こうずゐ》が残酷《ざんこく》に河川《かせん》の沿岸《えんがん》を舐《ねぶ》つた。洪水《こうずゐ》の去《さ》つた後《あと》は、丁度《ちやうど》過激《くわげき》な精神《せいしん》の疲勞《ひらう》から俄《にはか》に老衰《らうすゐ》した者《もの》の如《ごと》く、半死《はんし》の状態《じやうたい》を呈《てい》した草木《さうもく》は皆《みな》白髮《はくはつ》に變《へん》じて其《そ》の力《ちから》ない葉先《はさき》を秋風《あきかぜ》に吹《ふ》き靡《なび》かされた。鬼怒川《きぬがは》の土手《どて》に繁茂《はんも》した篠《しの》の根《ね》に纏《まつ》はつて居《ゐ》る短《みじか》い鴨跖草《つゆぐさ》も葉《は》から莖《くき》から泥《どろ》に塗《まみ》れて居《
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