飜《ひるがへ》つた。更《さら》に俄《にはか》にごつと立《た》つた風《かぜ》に森《もり》の梢《こずゑ》の葉《は》は散亂《さんらん》して鮮《あざや》かな光《ひかり》を保《たも》ちながら空中《くうちう》に閃《ひらめ》いた。數分時《すうふんじ》の後《のち》世間《せけん》は忽《たちま》ちに暗澹《あんたん》たる光《ひかり》に包《つゝ》まれて時雨《しぐれ》がざあと來《き》た。村落《むら》の何處《どこ》にも晴衣《はれぎ》の姿《すがた》を見《み》なく成《な》つた。おつぎは與吉《よきち》を連《つ》れて疾《とつ》くに歸《かへ》つて居《ゐ》たのであつた。
夜《よる》に成《な》つて雨《あめ》が歇《や》んだ。
村落《むら》の者《もの》は段々《だん/\》に瞽女《ごぜ》の泊《とま》つた小店《こみせ》の近《ちか》くへ集《あつ》まつて戸口《とぐち》に近《ちか》く立《た》つた。戸《と》は悉《こと/″\》く開放《あけはな》つて障子《しやうじ》も外《はづ》してある。瞽女《ごぜ》は各自《かくじ》に晩餐《ばんさん》を求《もと》めて去《さ》つた後《あと》であつた。瞽女《ごぜ》は村落《むら》から村落《むら》の「まち」を渡《わた》つて歩《ある》いて毎年《まいねん》泊《と》めて貰《もら》ふ宿《やど》に就《つい》てそれから村落中《むらぢう》を戸毎《こごと》に唄《うた》うて歩《ある》く間《あひだ》に、處々《ところ/″\》で一人分《いちにんぶん》づゝの晩餐《ばんさん》の馳走《ちそう》を承諾《しようだく》して貰《もら》つて置《お》く。それで彼等《かれら》は夜《よる》の時刻《じこく》が來《く》ると、目明《めあき》の手曳《てびき》がだんだんと其《そ》の家々《いへ/\》に配《くば》つて歩《ある》く。さうしては復《ま》た手曳《てびき》がそれを集《あつ》めて打《う》ち連《つ》れて歸《かへ》つて來《く》る。目《め》の不自由《ふじいう》な彼等《かれら》は漸《やうや》くのことで自分《じぶん》の求《もと》める家《いへ》に就《つ》いても板《いた》の間《ま》の端《はし》などにぽつさりとして膳《ぜん》の運《はこ》ばれるのを待《ま》つて居《ゐ》るので一|同《どう》の腹《はら》が滿《み》たされて再《ふたゝ》び杖《つゑ》に縋《すが》るまでには面倒《めんだう》な時間《じかん》を要《えう》するのである。
小店《こみせ》の座敷《ざしき》には瞽女《ごぜ》の大
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