》となく忙《いそが》しげであつて、それも少時《しばし》の間《ま》に何處《どこ》でも草木《さうもく》の葉《は》が硬《こは》ばつたり傷《きず》ついたりして一|切《さい》が只《たゞ》がさ/\と混雜《こんざつ》して畢《しま》つた。さういふ處《ところ》へ季節《きせつ》の冬《ふゆ》は厭《いや》でも行《ゆ》き渡《わた》らねばならないのであるがそれでも暖《あたゝ》かい日《ひ》があつたり、冷《つめ》たい日《ひ》があつたりして冬《ふゆ》は只管《ひたすら》躊躇《ちうちよ》しつゝ地上《ちじやう》に沈《しづ》まうとした。さうして霜《しも》を一|度《ど》偃《は》はせて見《み》た。凡《すべ》ての草木《さうもく》は更《さら》に慌《あわ》てた。地味《ぢみ》な常磐木《ときはぎ》を除《のぞ》いた外《ほか》に皆《みな》次《つぎ》の春《はる》の用意《ようい》の出來《でき》るまでは凄《すご》い姿《すがた》に成《な》つてまでも凝然《ぢつ》としがみついて居《ゐ》る。冬《ふゆ》は復《ま》た霜《しも》を偃《は》はせて見《み》た。恐《おそ》ろしく潔癖《けつぺき》な霜《しも》は其《そ》の見窄《みすぼ》らしい草木《さうもく》の葉《は》を地上《ちじやう》に躪《にじ》りつけた。人間《にんげん》の手《て》を藉《か》りたものは田《た》でも畑《はた》でも人間《にんげん》の手《て》を藉《か》りて到處《いたるところ》をからりとさせる。其《そ》の時《とき》畑《はた》には刷毛《はけ》の先《さき》でかすつた樣《やう》に麥《むぎ》や小麥《こむぎ》で仄《ほのか》に青味《あをみ》を保《たも》つて居《ゐ》る。それから冬《ふゆ》は又《また》百姓《ひやくしやう》をして寂《さび》しい外《そと》から專《もつぱ》ら内《うち》に力《ちから》を致《いた》させる。百姓等《ひやくしやうら》は忙《いそが》しく藁《わら》で俵《たわら》を編《あ》んで米《こめ》を入《い》れて春《はる》以來《いらい》の報酬《はうしう》を目前《もくぜん》に積《つ》んで娯《よろこ》ぶのである。
 彼等《かれら》の間《あひだ》には恁《か》ういふ時《とき》に、さうして冬《ふゆ》が本當《ほんたう》にまだ彼等《かれら》の上《うへ》に泣《な》いて見《み》せない内《うち》に相《あひ》前後《ぜんご》して何處《どこ》の村落《むら》にも「まち」が來《く》るのである。其《そ》れは村落毎《むらごと》に建《た》てられてあ
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