えになあ、俺《お》ら可笑《をか》しくつて仕樣《しやう》無《な》かつたつけぞ」噺手《はなして》は左右《さいう》を向《む》きつゝいつた。皆《みな》復《ま》た拍子《ひやうし》して囃《はや》し立《た》てた。
「そんぢや直《す》ぐよこしたつぺ」
「うむ、途中《とちう》で行逢《いきや》つたんだんべ、直《す》ぐ來《き》たつきや」
「あつちだつて其《そ》の位《くれえ》知《し》つてらな」
「おつぎは店《みせ》へよつたつけか」二人《ふたり》が一|度《ど》にいつた。
「寄《よ》んねえや、さうしたらおつう、なんておとつゝあ喚《よ》ばつたんだ、たいした聲《こゑ》してな、そんでもおつうは行《い》つちまあのよ、さうしたら又《また》、おつうなんて呶鳴《どな》つてな、勘定《かんぢやう》すんのにも慌《あわ》くつて錢《ぜに》落《お》つことしたり何《なん》かして後《あと》から駈《か》けてつたんだ、五|合《がふ》も飮《の》んだつぺつちけな、可怖《おつかね》え目《め》つきしつちやつてな、そんだがおつぎは聽《き》かねえぞなか/\、つツ/\と行《い》つちやつてな」噺手《はなして》は暫時《しばし》口《くち》を鎖《とざ》した。
「今日《けふ》は若《わけ》え衆等《しら》行《い》くと思《おも》つてはあ、夜《よる》まで置《お》けねえんだな」
「極《きま》つてらあな」
「そんだつて箆棒《べらぼう》、若《わけ》え衆等《しら》だつてさうだことばかりするものぢやねえ、詰《つま》んねえ」憤慨《ふんがい》してかういふものも
「外聞《げえぶん》惡《わり》いも何《なん》にも知《し》んねえんだな」嘲笑《てうせう》の意味《いみ》ではあるが何處《どこ》となく沈《しづ》んで又《また》斯《か》ういふ者《もの》も有《あ》つた。
「おつぎはそんだが頭髮《あたま》てか/\光《ひか》らかせた處《とこ》ら善《よ》く成《な》つちやつたつけぞ」俄《にはか》に思《おも》ひ出《だ》した樣《やう》に先刻《せんこく》の噺手《はなして》がいつた。
「そんで、おとつゝあ餘計《よけい》仕《し》やう無《な》くなつちやつたんだんべえ」臀《しり》へ釘《くぎ》を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]《さ》して臺《だい》に乘《の》つて居《ゐ》る手《て》ランプの油煙《ゆえん》がそつちへこつちへ靡《なび》く光《ひかり》の下《もと》に茶碗《ちやわん》を箸《は
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