」
「薪雜棒《まきざつぽう》ふられてか」
笑聲《せうせい》が雜然《ざつぜん》として寮《れう》の内《うち》は一|層《そう》騷《さわ》がしく成《な》つた。
「今日《けふ》らも見《み》ろ、角《かど》の店《みせ》で自棄酒《やけざけ》飮《の》んで怒《おこ》つてたつけぞ」一人《ひとり》が自慢《じまん》らしく新《あらた》な事實《じじつ》を提供《ていきよう》した。
「どうしてよ」一|同《どう》が耳《みゝ》を峙《そばだ》てた。
「おつぎことお針《はり》つ子等《こら》と一|緒《しよ》に手傳《てづでえ》に遣《や》つたの知《し》つてべな」
「知《し》つてらなそら」
「そんでよ、手傳《てづでえ》に遣《や》つてゝも、はあ、日暮《ひぐれ》に成《な》つたら、あつかもつかして凝然《ぢつ》としちや居《ゐ》らんねえんだ、そんで愚圖《ぐづ》/\云《ゆ》つてんの面白《おもしれ》えから俺《お》ら聞《き》いてたな、丁度《ちやうど》えゝ鹽梅《あんべえ》に俺《おれ》草履《ざうり》買《か》ひに行《い》つて出《で》つかせてな」
「毎日暮《まいひぐれ》ぢやねえけ徳利《とつくり》おつ立《た》てゝんな」
「さうなんだ、近頃《ちかごろ》唐鍬《たうぐは》使《つけ》え骨《ほね》折《おれ》つからつて仕事《しごと》畢《しま》つちや一|合《がふ》位《ぐれえ》引《ひ》つ掛《か》けて直《す》ぐ行《い》つちやあんだつちけが、それ今日《けふ》は早《はや》くから來《き》てたんだつちきや、店《みせ》のおとつゝあに聞《き》いたな俺《お》ら」噺手《はなして》は自分《じぶん》が先《ま》づ興《きよう》に入《い》つた樣《やう》に又《また》いつた。
「俺《お》ら今日《けふ》うめえ處《とこ》聞《き》いつちやつたな」
「何《なん》だつて云《ゆ》つけ」
「酷《ひ》でえ阿魔《あま》だ、夕飯《ゆふめし》も何《なに》も仕《し》やうありやしねえなんてな、獨《ひと》りでぐうづ/″\云《ゆ》つてな、そんで與吉《よきち》こと何遍《なんべん》も迎《むけえ》に遣《や》つてな、さうすつとあの與吉《よきち》の野郎《やらう》また、今《いま》直《すぐ》に饂飩《うどん》饗《ふるま》つてよこすとう、なんてのたくり/\歸《けえ》つて來《く》んだ、さうすつと又《また》駄目《だめ》だ汝《わ》りや復《ま》た行《い》つて來《こ》う、直《すぐ》に來《こ》うつて云《ゆ》ふんだぞなんて怒《おこ》つた見《み》て
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