合《ばあひ》を巧《たくみ》に繕《つく》らふといふ料簡《れうけん》さへ苟且《かりそめ》にも持《も》つて居《ゐ》ない程《ほど》一|面《めん》に於《おい》ては濁《にごり》のない可憐《かれん》な少女《せうぢよ》であつた。おつぎは萎《しを》れて只《たゞ》ぽつさりと立《た》つて居《ゐ》る。勘次《かんじ》の目《め》は薄闇《うすくら》い手《て》ランプに光《ひか》つた。
「おつう」と一|聲《せい》呶鳴《どな》つて情《じやう》の激《げき》した勘次《かんじ》は咄嗟《とつさ》に次《つぎ》の語《ことば》が出《だ》せなかつた。
「何《なに》してけつかつたんだ」勘次《かんじ》はおつぎを睨《にら》みつけた。おつぎは俯向《うつむ》いて默《だま》つて居《ゐ》る。
「さあ云《ゆ》つて見《み》ろ、嘘《ちく》云《ゆ》つたつて知《し》つてつゝお」勘次《かんじ》は猶《なほ》も激《はげ》しく訊《たず》ねた。
「汝《わ》りや何時《いつ》でも何《なん》ちつた、おとつゝあげは決《けつ》して心配《しんぺえ》掛《か》けねえからつて云《ゆ》つたんぢやねえか、そんでも汝《わ》りや心配《しんぺえ》掛《か》けねえのか、掛《か》けねえつちんだら云《ゆ》つて見《み》ろ」彼《かれ》は忌々敷相《いま/\しさう》に且《か》つ刄《やいば》を以《もつ》て心部《むね》を突《つ》き通《とほ》される苦《くる》しさを忍《しの》んだかと思《おも》ふやうな容子《ようす》でわく/\する胸《むね》から聲《こゑ》を絞《しぼ》つていつた。彼《かれ》は暫《しばら》く間《あひだ》を措《お》いては又《また》、噛《か》んで/\噛締《かみし》めても噛《か》み切《き》れぬ或《ある》物《もの》に對《たい》するやうな焦燥《じれ》つたさと、期待《きたい》して居《ゐ》た或《ある》物《もの》を俄《にはか》に奪《うば》ひ去《さ》られた樣《やう》な絶望《ぜつばう》とが混淆《こんかう》し紛糾《ふんきう》した自暴自棄《やけ》の態度《たいど》を以《もつ》ておつぎを責《せ》めた。彼《かれ》の擧動《きよどう》は殆《ほとん》ど發作的《ほつさてき》であつた。おつぎの聲《こゑ》を殺《ころ》して泣《な》く聲《こゑ》は隙間《すきま》だらけな戸《と》の外《そと》に絶《た》え/″\に漏《も》れた。
從來《これまで》とてもおつぎは假令《たとひ》異性《いせい》を慕《した》ふ性情《せいじやう》が漸《やうや》く發達《は
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