終わり]

たま/\は絣のひとへ帶締めてをとめなりけるつゝましさあはれ

[#ここから6字下げ]
廿四日夜、また不眠に陷る
[#ここで字下げ終わり]

いづべゆか雨洩りたゆく聞え來てふけしく夜は沈みけるかも

[#ここから6字下げ]
小松植ゑたる狹き庭をへだてゝ外科の病棟あり、痛し/\といふかなしき呻きの聲きこゆ
[#ここで字下げ終わり]

夜もすがら訴へ泣く聲遠ぞきて明けづきぬらし雨衰へぬ

[#ここから6字下げ]
廿五日、ベコニヤの花一枝を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]し換ふ、博士の手折られけるなり、白き一輪※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]は同夫人のこれもベコニヤの赤きを活けもておくられけるなり、廿六日の朝看護婦の※[#「巾+廚」、第4水準2−12−1]を外していにけるあとにおもはぬ花一つ散り居たり
[#ここで字下げ終わり]

悉く縋りて垂れしベコニヤは散りての花もうつぶしにけり

ちるべくも見えなき花のベコニヤは※[#「巾+廚」、第4水準2−12−1]の裾などふりにけらしも

ベコニヤの白きが一つ落
前へ 次へ
全44ページ中23ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング