るらめ

としのはに子うみおもなみすべなけば盥の尻を手もて叩かせ

東國《あづま》にはしかぞ尻打つ盥打つ然かする時は子をうむは遠し

はた/\と盥打つ時めぐし子はたらひ/\と足らひたるべし([#ここから割り注]明治四十年十月二十八日[#ここで割り注終わり])

    暮春の歌

[#ここから6字下げ]
五月のはじめ雨の日にあひてたま/\興を催してよめる
[#ここで字下げ終わり]

さびしらに母と二人し見る庭の雨に向伏す山吹の花

山吹の花の黄染をそこらくに洗ひ落して雨ぞしき降る

もろ/\の庭の梢は雨注ぎうち搖るゝまで其葉茂れり

水つけばほとぶるものと木のうれも雨しふれゝばいやふくよかに

雨ふりて淋しき庭も※[#「耒+婁」、第4水準2−85−9]斗菜の一簇故に足らずしもなし

あらかじめ持てりし雨を悉く土にかへして春は行くめり

菜の花の乏しきみれば春はまだかそけく土にのこりてありけり

すが/\し樫がわか葉に天響き聲ひゞかせて鳴く蛙かも

車前草《おほばこ》の花がさかむとうれしとて蛙は雨にきほひてや鳴く

蛙らは皆塗り込めの畦越えて遠田こち田と鳴きめぐるらし

やはらかに茂き林
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