は水の滴るが如

おしなべて木草に露を置かむとぞ夜空は近く相迫り見ゆ

からくして夜の涼しき秋なれば晝はくもゐに浮きひそむらし

うみ苧なす長き短きけぢめあれば晝はまさりて未だ暑けむ

芋の葉にこぼるゝ玉のこぼれ/\子芋は白く凝りつゝあらむ

青桐は秋かもやどす夜さればさはら/\と其葉さやげり

烏瓜《たまづさ》の夕さく花は明け來れば秋を少なみ萎みけるかも

    晩秋雜咏

     即興拾八首

芋がらを壁に吊せば秋の日のかげり又さしこまやかに射す

秋の日に干すはくさ/″\小鍋干す箒草干す張物も干す

葉鷄頭《かまつか》に藁おしつけて干す庭は騷がしくしておもしろきかも

葉鷄頭は籾の筵を折りたゝむ夕々にいやめづらしき

荒繩に南瓜吊れる梁をけぶりはこもるあめふらむとや

はら/\と橿の實ふきこぼし庭の戸に慌しくも秋の風鳴る

おしなべて折れば短くかゞまれる茶の木も秋の花さきにけり

茨の實の赤《あけ》び/\に草白む溝の岸には稻掛けにけり

黄昏の霜たちこむる秋の田のくらきが方へ鴫鳴きわたる

こほろぎははかなき虫か柊の花が散りても驚きぬべし

紅の二十日大根は綿の如なかむなにし
前へ 次へ
全83ページ中76ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング