ば翳せ肱笠

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七月廿五日、昨日より「フツカケ」といふ雨來る、降りては倏ちに晴れ、晴れては復た降りきたる
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暑き日の降り掛け雨は南瓜の花にたまりてこぼれざる程

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八月八日、立秋
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南瓜の茂りがなかに抜きいでし莠《はぐさ》そよぎて秋立ちぬらし

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九日、夜はじめて※[#「虫+車」、第3水準1−91−55]をきく
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垣に積む莠がなかのこほろぎは粟畑よりか引きても來つらむ

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十日、用ありていづ
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目をつけて草に棄てたる芋の葉の埃しめりて露おける朝

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假裝行列に加はりて予は小原女に扮す、小原女に代りて歌を作る
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白河の藁屋さびしき菜の花を我が手と伐りし花束ぞこれ

菜の花に明け行く空の比枝山は見るにすがしも其山かづら

白河のながれに浸でし花束を箕に盛り居ればつぐみ鳴くなり

おもしろの春の小雨や花箕笠花はぬるれど我はぬれぬに

あさごとに戸の邊に立ち
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