波打ち來れば足揚《あげ》て避けつゝ
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平潟港即事
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松魚船入江につどひ檣に網《あみ》建て干せり帆を張るが如し
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九日午後になりて雨漸く收る、平潟に來てはじめて晴天なり
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天水のよりあひの外に雲收り拭へる海を來る松魚船
白帆干す入江の磯に松魚船いま漕ぎかへる水夫の呼び聲
きららかに磯の松魚の入日さしかゞやくなべに人立ち騷ぐ
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十日、干潟日和山
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群※[#「亞+鳥」、第4水準2−94−23]夕棲み枯らす松の上に白雲棚引く濱の高岡
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同關田の濱
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こゝにして青草の岡に隱ろひし夕日はてれり沖の白帆に
波越せば巖に糸掛けて落つる水落ちもあへなくに復た越ゆる波
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十一日、此日も關田の濱へ行く
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松蔭に休らひ見れば暑き日は浪の膨れのうれにきらめく
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此日平潟より南へわたる長濱といふ所の斷崖の上に立ちて
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