は稀
[#ここから6字下げ]
岩瀧村より船にて宮津へ渡る
[#ここで字下げ終わり]
與謝の海なぎさの芒吹きなびく秋風寒し旅の衣に
[#ここから6字下げ]
宮津より栗田村に越ゆる坂路にたちて
[#ここで字下げ終わり]
鰺網を建て干す磯の夕なぎに天の橋立霧たなびけり
干蕨蓆に曝す山坂ゆかへり見遠き天の橋立
[#ここから6字下げ]
栗田村より由良港にいたる、右は峻嶺笠を壓して聳へ、左は海濤脚下巖を噛む
[#ここで字下げ終わり]
由良の嶺に栗田の子らが樵る柴は陸ゆはやらず蜑舟に漕ぐ
眞柴こり松こる子らが夕がへり疾きも遲きも磯に立ち待つ
[#ここから6字下げ]
二十四日、由良の港を立つ
[#ここで字下げ終わり]
由良川は霧飛びわたる曉の山の峽より霧飛びわたる
曉の霧は怪しも秋の田の穗ぬれに飛ばず河の瀬に飛ぶ
由良川の霧飛ぶ岸の草村に嫁菜が花はあざやかに見ゆ
[#ここから6字下げ]
四所村間道
[#ここで字下げ終わり]
からす鳴く霧深山の溪のへに群れて白きは男郎花ならし
諸木々の梢染めなば萱わけて栗ひらふべき山の谷かも
[#ここから6字下げ]
廿五日、攝州須磨寺
[
前へ
次へ
全83ページ中50ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング