も茗荷も黄葉してあかるき雨に鵯ぞ鳴くなる

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白河村
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女郎花つかねて浸てし白河の水さびしらに降る秋の雨

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一乘寺村
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秋雨のしく/\そゝぐ竹垣にほうけて白きたらの木の花

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詩仙堂
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落葉せるさくらがもとにい添ひたつ木槿の花の白き秋雨

唐鶸《からひは》の雨をさびしみ鳴く庭に十もとに足らぬ黍垂れにけり

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下鴨に詣づ、みたらしの上には樟の大樹さし掩ひて秋雨のしづくひまもなし
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糺の森かみのみたらし秋澄みて檜皮《ひはだ》はひてぬ神のみたらし

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二十一日、伏見桃山
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柿の木の林がもとはおしなべて立枝の獨活の花さきにけり

みちのへに草も莠《はぐさ》も打ち茂る圃の桔梗は枯れながらさく

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愚庵和尚の遺蹟を訪ふ、庵室の縁の高きは遠望に佳ならむがためなり、戸は鎖したれど時久しからねば垣も未だあらたなり。清泉大石のもとを流る
[#ここ
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