げ終わり]

なみなへし短くさける赤土の稚松山は汗もしとゞに

[#ここから6字下げ]
十二日、中山道伏見驛より川を下らむとして成らず、獨り國道を辿る
[#ここで字下げ終わり]

木曾川のすぎにし舟を追ひがてに松の落葉を踏みつゝぞ來し

[#ここから6字下げ]
木曾川の沿岸をゆく
[#ここで字下げ終わり]

鱗なす秋の白雲棚引きて犬山の城松の上に見ゆ

[#ここから6字下げ]
各務が原
[#ここで字下げ終わり]

淺茅生の各務《かゞみ》が原は群れて刈る秣千草眞熊手に掻く

[#ここから6字下げ]
十五日、江崎なる華園氏のもとを辭して大垣に至る
[#ここで字下げ終わり]

松蔭は篠も芒も異草も皆悉くまむじゆさげ赤し

鯰江の繩手をくれば田のくろの菽のなかにも曼珠沙華赤し

[#ここから6字下げ]
十六日、潮音氏に導かれて大垣より養老山に遊ぶ、途に遙に小爆布をのぞむ
[#ここで字下げ終わり]

多度山の櫟がしたに刈る草の秣が瀧はよらで過ぎゆく

[#ここから6字下げ]
養老公園
[#ここで字下げ終わり]

落葉せるさくらがもとの青芝に一むら淋し白萩の花

[#ここから6字下げ]
養老の瀧

前へ 次へ
全83ページ中46ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング