て空に消につゝ(道灌山遠望)

※[#「頭のへん+工」、第4水準2−88−92]豆《さゝげ》干す庭の筵に森の木のかげる夕に飛ぶ赤蜻蛉

水泡よる汀に赤き蓼の穗に去りて又來るおはぐろ蜻蛉

秋の日は水引草の穗に立ちて既に長けど暑き此頃

科野路は蕎麥さく山を辿りきて諏訪の湖邊に暑し此日は

秣刈り霧深山をかへり來て垣根にうれし月見草の花

    同第二會
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七日、布半の樓上に開く、會するもの更に一人を減ず、題は秋の山、霧、灯、秋の菓物
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杉深き溪を出で行けば草山の羊齒の黄葉に晴れ渡る空

鹽谷のや馬飼ふ山の草山ゆ那須野の霧に日のあたる見ゆ(下野鹽原の奥)

山梨の市の瀬村は灯ともさず榾火がもとに夜の業すも(多摩川水源地)

瓜畑に夜を守るともし風さやり桐の葉とりて包むともし灯

黄葉して日に/\散ればなり垂れし庭の梨の木枝の淋しも

二荒山いまだ明けねば關本の圃なる梨は露ながらとる

    羇旅雜咏
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八月十八日、鬼怒川を下りて利根川に出づ、濁流滔々たり、舟運河に入る、
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利根川や漲る水に
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